【2026年6月1日 5:28 PM更新】
歯科医院経営で本当に大切なのは?
何と言っても、新患を増やすことが大切。
カルテの枚数を増やすのが医院経営の基本。
若い頃、私はそのように教えられてきました。
先生も、一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。
実際、私も10年ほど前までは、新患を集めるのに必死でした。
歯が痛い、歯ぐきが腫れた、詰め物が取れた。
そういった症状を抱えた患者さんが来院されれば、患者数は増えますね。
なので、地域の中でより多くの新患を集めることが大切だ、と疑いもしなかったのです。
ただ、そのやり方では来院者数は一時的に増えても、予約が安定して埋まり続けるわけではありませんでした。
症状が落ち着けば、通院は終わる。
すると、また新患を集めなければならない。
その繰り返しです。
気がつけば、予約表の空きが気になるようになり、
「このまま同じ努力を続けていて本当に大丈夫なのか?」
と、不安ばかりが大きくなっていきました。
カルテの枚数にこだわるのをやめたら見えて来たこと
そのような先の見えない状態を抜け出せたのは、
カルテの枚数にこだわるのをやめたからです。
代わりに考えるようになったのは、
患者さん全員に予防の重要性を理解していただき、
メンテナンスに通い続けてもらえる歯科医院になることでした。
実は、開業当初からそのような予防型医院を作れたら理想だとは思っていました。
ただ当時は、治療が必要な患者さんを集めることばかりを優先していたため、
夢のままで終わっていたのです。
半分あきらめていた時期もありました。
でも、歯の健康を守るために患者さんが通い続ける歯科医院になれたら、
予約の枠は自然に埋まっていくはずです。
しかも、それは単に予約が埋まるという話ではありません。
患者さんの健康が守られる。
スタッフのやり甲斐が上がる。
医院全体の診療の質も安定する。
つまり、経営と医療の方向がぴったり一致するのです。
若い先生ほど考えていただきたいこと
経営に関心のある若い先生ほど、
「どうやって新患を増やすか」
に意識が向きやすいと思います。
もちろん、それは大切です。
新患が来なければ、医院は成り立ちません。
ただ、本当に大事なのはその先です。
来院された患者さんに、健康のために通い続けていただけるかどうか。
ここが弱いと、新患を集め続けなければならない経営になります。
すると、予約は埋まっているように見えても、実際にはいつも不安定です。
逆に、予防を軸にして継続通院してくださる患者さんが増えると、
医院経営は驚くほど安定してきます。
ですから私は、予防の必要性を伝えても通ってくださらない患者さんに対して、
なぜ、予防のために通院しないのか
なぜ、ハガキを送っても予約しないのか
なぜ、説明した内容を忘れてしまうのか
そういった問題を、一つずつ考えるようになりました。
遠回りのように見えて、実はこれが一番効果的だったのです。
予防の患者さんが増えると、次に出てくる悩み
予防型の歯科医院づくりが進んでくると、別の悩みが出てきます。
それが、
歯科衛生士にどこまで任せられるのか
という問題です。
定期検診の患者さんが増えてくると、歯科衛生士の働きがとても重要になります。
先生が診療している時間にも、DHがメンテナンスを進めていく。
この体制が整えば、医院全体の生産性は大きく上がります。
ただ、人に任せるのは不安ですよね。
例えば、
リスク部位を見逃してしまわないか
治療方針と合わない説明をしてしまわないか
伝えておいたことを忘れてしまわないか
このような不安を抱えたままでは、先生は落ち着いて診療に集中できません。
任せるのではなく、共有する
そこで松田歯科医院では、診療前の情報共有を徹底しています。
午前の診療前には朝礼、
午後の診療前には昼礼を行い、
スタッフ全員でレントゲンを表示したモニターの前に集まります。
そこで、
DHがSPTを担当する患者さんの現病歴を報告する
歯科医師が関連するレントゲン像や注意点を解説する
修復・補綴治療などの予定がある患者さんについては担当医が共有する
という流れで進めています。
この目的は明確です。
1つ目は、患者さんの留意点を医院全体で共有するため。
2つ目は、レントゲンを読めるDHを育てるため。
3つ目は、管理者が不在でも病態を正確に伝達できる状態を作るためです。
つまり、
任せっぱなしにしないこと
が大切なのです。
若い先生ほど、「DHに任せるのが不安です」と感じられると思います。
でも、その不安の原因はDH個人だけではありません。
医院全体で同じ情報を持てていないことが、本当の問題である場合が多いのです。
属人的に頑張るのではなく、
仕組みで安心して任せられる状態を作る。
これが、予防型歯科医院には欠かせません。
長く通ってくださる患者さんに、毎回どんな話をすればよいのか
もう一つ、若い先生からよく聞く悩みがあります。
それは、
定期検診に長く通ってくださる患者さんと、毎回何を話せばよいのか分からない
というものです。
確かに、治療中であれば毎回お話しする内容が変わります。
でも、定期検診で状態が安定している患者さんの場合、大きな変化はありません。
すると、話題に困るわけです。
以前、ある先生からこんな質問を受けました。
「松田歯科医院で最も長く通われている患者さんは、どれくらいになりますか?」
私は、20年以上一度も中断せずに通ってくださっている方が数名いらっしゃる、とお答えしました。
毎月通院されている方なら、240回以上(!)になります。
すると先生は、
「そんなに長く通っていただいたら、毎回どんな会話をすればよいのか分かりません」
とおっしゃいました。
先生のこの気持ちはよく分かります。
毎回違う話をしなくてもよい
ただ、ここで大切なのは、
毎回違う話題を出すことではありません。
大きな変化がないということは、メンテナンスの効果が出ているということです。
ですから私は、状態が安定している患者さんには、
「今の良い状態を保つために、今後も診せてくださいね」
とお伝えします。
同じような説明になることはあります。
でも、それでよいのです。
患者さんにとって価値があるのは、毎回新しい話を聞くことではなく、
今日もしっかり診てもらえた
と感じられることだからです。
もちろん、会話の内容を変えたい時には、季節の話題や地域の話題、
あるいは自分の近況などを交えることもあります。
家族のことや、身近な出来事などは意外と共感を得やすいものです。
とは言っても、会話そのものにこだわりすぎる必要はありません。
患者さんの満足を支えるのは「歯科医師が関わった実感」です
コミュニケーションはもちろん大切です。
でも、患者さんの満足を支えるのは、会話だけではありません。
今日も先生に診てもらえた。
今日も必要な処置をしてもらえた。
この実感はとても大きいのです。
ですから私は、デブライドメント終了後のポケット内貼薬など、
歯科医師が関わる場面を意識的に作ることがあります。
もちろん、毎回大がかりな処置をする必要はありません。
でも、歯科医師にしかできない介入が適切に組み込まれていると、
患者さんは「今日も来て良かった」と感じやすくなります。
これが、長期通院のモチベーション維持につながるのです。
若手の先生にお伝えしたいこと
若い頃は、どうしても目立つ数字に意識が向きます。
新患数。
カルテ枚数。
売上。
来院者数。
もちろん、どれも大切です。
でも、本当に強い歯科医院は、
患者さんが健康のために通い続ける仕組みを持っている医院です。
そのためには、
新患数だけを追わないこと
メンテ継続率を重視すること
DHを戦力化すること
情報共有を仕組みにすること
長期通院患者の満足を維持すること
これらが必要になります。
予約が埋まる医院とは、新患を追い続ける医院ではありません。
通う理由を患者さんの中に育てていける医院だと、私は考えています。
もし先生が、これから医院経営を学びたい、
あるいは将来ご自身の歯科医院を持ちたいとお考えなら、
ぜひ「新患を増やす方法」だけでなく、
通い続けていただける仕組みをどう作るか
にも目を向けてみてください。
その視点を持つだけで、歯科医院経営の見え方は大きく変わるはずです。
若い先生へ、もし少しでも関心があればご連絡ください
もし先生が、
「新患を追い続ける経営ではなく、通い続けていただける歯科医院をつくりたい」
「勤務医のうちに、診療だけでなく医院運営の考え方まで学んでおきたい」
とお考えでしたら、ぜひ一度ご連絡ください。
松田歯科医院では、予防を軸にした歯科医療を大切にしながら、
日々の診療の中で医院全体の流れを学べる環境づくりを進めています。
いきなり応募ではなく、まずは見学やご相談だけでも大丈夫です。
将来の働き方やキャリアについて考えていらっしゃる先生は、
お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
その際は「ブログを読んだ」と添えていただけると分かりやすいです。
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