【2020年7月3日 7:50 PM更新】
新人歯科衛生士のN美です。
今回は沢口由美子先生の「補助用具・歯磨剤・洗口剤」セミナー
についてまとめてみました。
【タフトブラシ】
◎バトラー シングルタフト#01F
・毛先がフラットで、磨くときに毛先が広がり、やさしく当たる。
・細かいところも磨ける。
◎テペ・タフト
・毛先が丸い形状で、押し当てると毛先が円状に広がる。
・咬合面を磨くのに適している。
☆乳臼歯が萌出してきたときや、6番・7番が萌出してきたときの咬合面を磨くのにも良い。
【歯間ブラシ】
・歯間部を三角形として考えると、
角の部分はう蝕の好発部位であったり、
歯周病の初発部位であったりする。
・歯間ブラシのサイズを選択するときには、
「小は大をかねる」という考え方。
角まで磨けるように。
・初心者にはL字型(アングルタイプ)が使いやすい。
・歯間ブラシは、フロスでは当たらない歯間部の凹みにも毛先が当たる。
(凹みに当たるように毛が先端に向かって細くなってるものよりも、ストレートのものが良い。)
・爪楊枝を日常的に使うと、くさびのようになり、
歯間の隙間がどんどん大きくなってしまうので、
そういう方には歯間ブラシをすすめる。
・歯間部は面積が広いのに磨けていない人が多く、
歯と歯肉の間から細菌が入り込んでしまう。
歯周病の患者には歯間ブラシをすすめると良い。
◎ガムプロズ 歯間ブラシL字型
・抗菌三角毛により、プラーク除去効果が25%アップ。
・4Sサイズはない。
・値段的には安価。
◎DENT EX 歯間ブラシ
・L字型で、サイズ展開は4S~LL。
◎Tepe 歯間ブラシ
・歯間ブラシ・エクストラソフト歯間ブラシ・アングル歯間ブラシがある。
・歯間ブラシのサイズ展開は4S~4Lで、4S~Sについては柄のシリコン部分を曲げて、L字型にして使うことができる。
・柄の広くなっている部分を親指と人差し指でつまんで使うと固定がとれる。
・4Lは欠損部や最後臼歯遠心を磨くのにも使える。
・エクストラソフトは、外科処置後などデリケートな口腔内や、根面が露出しているときなどに使用。
◎クラプロックス 歯間ブラシ
・柄の丸い部分を持って使うと固定がとれる。
・IAPプライムという器具を用いて歯間のサイズを測って使う。
・毛の材質がクーレンファイバーという細い繊維で、歯間の凹みや歯肉の際まで毛が届く。
【ノンワイヤー製歯間ブラシ】
・シリコーン製の歯間ブラシは歯間ブラシのシェア1/4。
・清掃性はフィラメントよりも劣る。
・インプラントや補綴物が入っている、
ゴシゴシと磨いてしまう人にはノンワイヤー製をすすめるのも良い。
☆金属アレルギーがあるなど、
ワイヤーが使われている歯間ブラシを使えない場合には
ノンワイヤー製のものをすすめる。
◎Tepe イージーピック
・作業部がヒダ状になっているため、清掃性がより高く、フィラメントが抜け落ちにくい。
・ワイヤータイプの歯間ブラシのインジケータとしても使える。
◎DENT EX 歯間ブラシ ノンワイヤー
・フィラメントが細かく作られている。
Q.歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスどれが先がいいのか。
・歯間ブラシやフロスで歯間の汚れを落としてから、
歯磨き粉を使って磨いたほうが、薬剤を行き届かせることができる
という考え方もある。
・フロスについては、歯磨き粉が口腔内に残った状態でフロスをすると
歯間の汚れが落としやすくなるため、後が良いという考え方もある。
【フロス】
・活用方法として、1本で使うだけでなく、2~4本で使うこともある。
本数が多いことで歯間に1回通したときの清掃範囲が広くなる。
・本数を増やして太くすることで、歯間乳頭を切るリスクも減るため、
初心者には2本などで使うことをすすめるのも良い。
◎DENT e-floss
・水を吸うと膨らむエクスパンディングタイプ(ソフトタイプ、スポンジタイプともいう)。
※ルシェロのフロスもこのタイプ。
・水を吸って膨らむため、歯間の汚れをよく落とす。
・汚れを良く落とす一方で、不良補綴物や不良修復物があると引っかかる。
☆フロスにも使い分けが必要。
◎バトラー
・テープのようなウィーブタイプは繊維がしっかりしているため、引っかかりにくい。
・イージースレッドフロスは、緑色のスレッドがついていてスーパーフロスのようにして使える。
エクスパンディングタイプ。
◎ガムチャックス
・持ち手にリフィルのフロスを取り付けて使う。
・持ち手を持って、歯面に沿わせて引っ張ることができるため、
歯のカーブに合わせることができる(Cシェイプ)。
・矯正用のものもある。
・ヌンチャクのような見た目で、子どもにも楽しんで使ってもらえるかも。
◎ウルトラフロス S・M
・SとMの違いは糸の太さで、SよりMのほうが太い。
☆歯間がう蝕になりやすい小児に対して、フロスにジェルの歯磨剤をつけて歯間に通す使い方も良い。
【歯磨剤】
☆NCCL・・・歯磨剤の研磨剤で歯頚部がすり減ってしまう。
・歯周病予防、殺菌、知覚過敏抑制、う蝕予防、その他の成分に注目する。
・殺菌成分のIPMPは即効性、CHXやCPCは持続性。
・IPMPはコロナウイルスにも有効。CHXやCPCはウイルスに対しては少し劣る。
・知覚過敏抑制成分である硝酸カリウム(即効性)と乳酸アルミニウム(持続性)は
使っているうちは効くが、使わなくなると効かなくなる。
・硝酸カリウムと乳酸アルミニウムの2つが一緒に入っていて、
且つ、NaFが入っていると相性の問題で安定性に少し欠ける。
・NaFは単体でフッ素だが、MFPは唾液成分と結合することでフッ素になる。
・NaFは歯にダイレクトに作用、MFPはタイムラグがある。
・CHX、CPCは歯面に残ると、歯面がコーティングされたようになり、
プラークが作られるのを抑制するため、最後に使うと良い。
・プラークがたくさん付いている場合にはIPMPは良い。
・市販のものよりも歯科専売のものは成分の濃度が濃い。
・歯磨剤に含まれる研磨剤はだいたい無水ケイ酸A(シリカ)と炭酸カルシウムの2種。
汚れを良く落とすのは炭酸カルシウム。
・シリカは砕いたときに丸く砕かれるので、やさしく汚れがとれる。
・炭酸カルシウムは砕いたときに角ばって砕かれる。
・NaFと炭酸カルシウムを合わせると、
フッ化カルシウムができてしまい、有効成分ではなくなる。
◎SPTジェル
・IPMP濃度がLION史上最強。
・研磨剤無配合。
・値段は少し高め。
・初診でブラッシング圧ができていない人や、出血のある人、腫れのある人におすすめ。
◎Haguki Plus Pro
・研磨剤配合。ステインを落としやすい。
・出血しなくなったら、腫れがなくなったら、ブラシ圧・動かし方が良くなったらすすめると良い。
◎バトラーデンタルケアペースト
・歯周病予防、口臭予防。
・味がソフトで、スースーしない。子どもにも使いやすい
・ホルモンバランスの変化によって歯肉炎が盛んに起こってくる思春期のケアにもおすすめ。
・仕上げ研磨で使うもの良い。
◎センシティブ
・硝酸カリウムと乳酸アルミニウムが両方入っていることで安定性に少し欠けるため、
安全性を考慮しNaFではなくMFP。
・研磨剤配合。
◎メルサージュヒスケア
・研磨剤の入っているタイプと、入っていないジェルタイプがある。
・歯肉の修復をする成分、ステインを溶かす成分も入っており、
汚れを落としながらヒスケアもできるため、知覚過敏の人にはおすすめ。
◎ガム・デンタルセンシティブ
・研磨剤無配合、低発泡。
・ホームホワイトニングでしみる人に、
ホワイトニングのトレーにこのペーストを入れて20分ほど装着してもらうと、しみなくなる。
◎Brilliant more
・ステインが付いてる人におすすめ。
・毎日ではなく、スペシャルケアとしてつかうのも良い。
◎Check-up standard/kodomo/gel
・フッ素滞留性を高めた独自の新処方。カチオン化セルロース配合。
◎Check-up root care
・根面カリエスの予防。
・PCA配合。研磨剤無配合。
・寝る前に根面に塗る使い方も良い。
☆PCAはコラーゲンに選択的に吸着し、コラーゲンの分解を抑制するため、酸の浸入を防ぐ。
また、PCAがあると950ppmのフッ素でも3000ppmレベルの効果をもたらす。
◎メルサージュ・クリアジェル
・子ども用でもCPCやIPMPが入っている。
◎市販のおすすめ・・・クリニカ
・PCA配合。
・デキストラナーゼが入っている。
☆デキストラナーゼは3分間以上作用させるとプラークを溶かす効果がある。
【フッ素濃度】
・1000ppmから1500ppmに濃度をアップしたことでう蝕抑制率は20%アップ。
・厚労省では1450ppmは6歳未満には使用しないという規定。
☆石灰化できてない幼若エナメル質に高濃度のフッ素を塗ると
エナメル小柱が萎縮して石灰化してしまい、
エナメル質表面がスカスカになり、う蝕になりやすくなる。
☆500ppmの活用法として、
生えたての乳歯・永久歯(幼若エナメル質)には低濃度のフッ素から作用させると良い。
【洗口剤】
◎SPTガーグル
・溶かして使うタイプ。
・指定医薬部外品(医薬部外品より上のレベル)。
・CPCが主成分。
・満量処方(入れていいMAXの濃度)で作られている。
◎ガム・プロズ デンタルリンス
・CPC、BKC、GK2配合。
・溶かさず使うタイプ。
☆溶かさないタイプの洗口剤は、災害用品として備蓄してもらうよう患者さんに伝える。
◎リステリン
・薬用成分はタイム油(チモール)、ハッカ油(L-メントール)、
ユーカリ油(1.8-シオネール)、ウインターグリーン油(サリチル酸メチル)。
・上記のエッセンシャルオイルを溶かすためにアルコールが使われている。
・ノンアルコールタイプのものは、界面活性剤でエッセンシャルオイルを溶かしている。
・アルコールも界面活性剤もコロナに有効。
・リステリンはバイオフィルム本体内に浸透するというエビデンスがある。
【周術期口腔ケア】
◎バトラー SGシリーズ
・ジェルスプレー、マウスコンディショナー、マイルドペースト、歯ブラシ#03S、スポンジブラシ。
・がん治療にかかわる医師とともに作ったシリーズで、口腔粘膜症の人にも使える。
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