【2021年6月19日 7:35 AM更新】
新人歯科衛生士のN美です。
今回はTecの作成方法とコツについてご紹介します。
先輩から教えていただいた内容をまとめてみました。
●練習の流れ
・院長や先輩がTecの作製をしているところを見学。
・その後、セットし終わった技工物の模型を使って作製の練習。
●練習するときに何を意識したか、Tec作製時のポイント
・臼歯部Tecの練習では、まず、支台歯に丁度良い量のレジンをつけて頬舌側から圧接する練習をした。(最小限の調整量で済ますことで時短につながるため。)
・頬舌側から圧接するときは、マージンを出すことと、大まかな形態を整えることを意識する。
・前歯部の既製Tecを選ぶときは歯冠の長さではなく、幅で選ぶ。また、左右の大きさのバランスも見て選ぶ。
・前歯部のTecはBTをあてると取れやすいため、ほぼあたらないくらいに調整する。
・長期間使うTecの場合は特に、歯頚部を白のシリコンでよく研磨する。(プラークの付き方が変わる。)
・レジンが硬化する際、重合熱を発して膨らむため、熱を発して膨らんでいるときに口腔外に出していると、再度支台歯に戻せなくなるため注意。口腔内で着脱をくり返す。
・マージンが合っているか確認するときは、目視かミラーで見ながら、支台歯にゆっくりTecをはめるようにすると確認しやすい。
・マージンがオーバーだと、歯肉を腫れさせる原因になるため注意する。
・コンタクトは一度鉛筆でチェックしたら削り落とさないように注意し、フロスを歯間部に通したとき、抵抗を感じるか確認する。コンタクトがゆるいと食片圧入の原因になる。
・臼歯部咬合面の調整は、まず、隣在歯との咬頭の高さが同じくらいになるようにし、その後咬合紙で確認しながら調整していく。
・頬舌側の形態を調整するときは、患者さんに舌でTecを触ってもらって、張り出していないか確認する。薄くしすぎると割れやすいため注意。
・オープンバイトの人で臼歯部にTecを入れる場合、過度な負担がかからないようBTは弱めにする。
・Tecが入っている状態と、入っていない状態の両方でBTを確認し、双方でかみ合わせに変わりがないかを確認する。
・レジンがくっついて取れなくなるのを防ぐため、最初に支台歯と隣在歯、対合歯にワセリンを塗っておくと良い。
前歯部Tecの作り方
【準備するもの】
・基本トレー
・排唾管
・ロールワッテ 上顎1個 下顎2個
・ストレートハンドピース
・スタンプバー(丸の小)、ビッグポイント、白のシリコン
・赤の咬合紙をセットした咬合紙ホルダー
・即重のセット
・即重のセットからレジンの粉と液、ハサミ、筆、鉛筆を準備
・前歯部用の既製冠
【作成】(既成のシェルTecを使用)
・既成Tecを試適する。
・ハサミでトリミングし、再度試適。
・内面を削り、再度試適。
※マージンより少しアンダーになるくらい。
・内面にレジン液をなじませる。
・次に固めのレジン泥を盛る。
・圧接する。
※圧接する前に支台歯にワセリンを塗っておくと、くっつく心配がない。
※患者さんには「からい材料が入ります」と声をかける。
・圧接してはみ出たレジンを筆で拭う。
・一度支台歯から外して、その後何度か支台歯につけたり外したりする。
・鉛筆でマージンラインに印をつける。
・調整する。(スタンプバー)
圧接してはみ出たレジンを削除し、解剖学的な歯冠形態に近づけていく。
・Tecの適合と咬合を確認。
・足りないところがあれば材料を盛り足す。
☆盛り足す前に「からい材料が入ります」と声をかける。
・再度調整する。
☆マージンが合っていることが重要なので、マージンラインを見ながら削る。マージンが合っていないと、歯肉を腫れさせる原因になる。
・Tecをはめて咬合紙で確認。左右差も確認する。
・調整が終わったら研磨する。(ビッグポイント→白シリコン)
・完成
・仮着し、セメント除去する。
☆仮着後、「もし取れてしまったら、無くさずに持ってきて下さい」と説明する。
臼歯部Tecの作り方
【準備するもの】
・基本トレー
・排唾管
・ロールワッテ 上顎1個 下顎2個
・ストレートハンドピース
・スタンプバー(丸の小)、ビッグポイント、白のシリコン
・赤の咬合紙をセットした咬合紙ホルダー
・即重のセットからレジンの粉と液、ハサミ、ラバーボール、スパチュラ、鉛筆を準備
【作成】
・レジンの粉と液をラバーボールに入れて混和する。
・混和してレジンが糸を引かなくなるまで(餅状になるまで)混和する。
・混和したレジンを支台歯につける。
☆口腔内に入れる前に「からい材料が入ります」と声かけをする。
・支台歯につけたら頬舌側から指でおさえる。
・「噛んで下さい」と声かけをする。
・軟らかいうちにTecを支台歯から外して、ハサミでトリミングする。
・Tec内面にレジンを少し盛り足し、支台歯に再度圧接し、頬舌側から指でおさえる。
☆重合熱が発生するため、口腔内に入れる前に「少し熱くなります」と声かけをする。
・レジンが硬化する際に熱を発して膨張するため、外せなくなることがないよう、Tecの着脱をくり返す。
・Tecを支台歯から外して、鉛筆でマージンラインに印をつける。
・コンタクトを削り落とさないように、鉛筆でコンタクトに印をつける。
・調整する。(スタンプバー)
・Tecをはめて、咬合紙で確認する。
・足りないところがあれば、口腔内でレジンを盛り足す。
☆口腔内に入れる前に「からい材料が入ります」と声かけをする。
・咬合紙で確認しながら調整をくり返す。
強く当たっているところ、マージンからはみ出ているところを削って落としていく。
・調整が終わったら研磨する。(ビッグポイント→白シリコン)
☆仮着後、「もし取れてしまったら、無くさずに持ってきて下さい」と説明する。
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