麻酔薬の使い分けは?(代診医からの質問)


【2021年8月15日 9:05 PM更新】


松田歯科医院 院長の松田拓己です。

 

痛みのない歯科治療を実現できれば
患者さんの評価が高まりますね。

 

医院の評判が良くなるだけでなく
リスク回避にもつながりますので
ぜひとも実現したいものです。

 

痛みの少ない治療に欠かせないもの
といえば、麻酔薬になります。

 

先日、非常勤の若手Dr.から
当院で使用している麻酔薬について
質問をもらいました。

 
『局所麻酔を行う機会が多いので、
そのことに関して質問させてください。

 
松田歯科では2%オーラ注と、
3%スキャンドネストの二種類を
頻繁に使い分けています。

 
どのような基準で使い分けているか?
詳しく教えていただければ幸いです。』

 

ご質問ありがとうございました。

先生の仰るとおり、歯科では主に
キシロカイン、オーラ注等の
リドカイン製剤が使用されます。
 
リドカインの麻酔作用は強力ですが
単独では作用時間が短いのです。

 
そこで、麻酔の作用時間を延長するため
血管収縮薬のエピネフリンが
添加されていますね。
 

エピネフリンの効果で作用時間が長くなり
薬剤使用量が軽減できるのです。

 
ただし、副作用もあります。

 
脈拍の増加や血圧の上昇を引き起こすので
高血圧やエピネフリン過敏症の方には
注意が必要です。

 
高血圧の場合、エピ入りの浸麻薬を
使わなければ良い、とは限りません。

 
浸麻薬に含まれるエピネフリンよりも
痛みを感じて体内で分泌される
エピネフリンの方が血圧に影響する
という報告もあるからです。

 
なので、術中に疼痛を与えないことに
さらに留意する必要があります。

 
痛みのコントロールが難しい症例で
カートリッジを複数本使用する際には
麻酔薬を使う順番が大切です。

 
最初にエピ入りの浸麻薬を打って、
術野の血行を低下させておきます。

 
術中に浸麻を足すことになった際には
血管収縮薬を含まない麻酔薬に変えましょう。

 
すでに、最初の麻酔薬に含まれていた
エピネフリンが血管を収縮させているので
作用時間の延長が期待できるのです。

 
こうして、エピネフリンの投与量を抑えて
確実な鎮痛を図ります。

 
もちろん、血圧のモニタリングを適宜行い
術前~術後までの患者さんの状態を
記録しておいてください。

 
(歯科治療時医療管理料が算定可能)

 
このように、高血圧の場合は
病態によって制限はあるものの
エピネフリン禁忌ではありません。

 
しかし、エピネフリン過敏症の方には
原則として禁忌となります。

 
リドカイン製剤を使用しづらい時は
シタネスト・オクタプレッシンが
歯科では使用されてきました。

 
しかし、最近は供給が滞りがちです。

 
また、鎮痛・血管収縮作用が弱いため
患者・術者双方がストレスを感じる場合が
多かったように思われます。

 
当院で使用しているスキャンドネストは
血管収縮薬無配合の局所麻酔剤です。
 

主成分であるメピバカインは
カルボカインという商品名で
医科では長年使用されています。

 
以前は歯科用も販売されていましたので
リバイバルですね。

 
血管収縮薬が添加されていないので
作用時間は30分と短く止血の効果もありません。

 
しかし、鎮痛作用はリドカインと同等で
フェリプレシンよりも強力なのです。

 
さらに、麻酔効果の発現はリドカインより早いのです。
 

早く十分な強さで効いて
早めに覚めてくれるので、
短時間で済む処置に向いています。
 

特に前歯の処置にはピッタリです。
 

上顎では問題なく効果が得られますので
止血に注意さえすれば
智歯の抜歯にも使用できます。
 

フェリプレシン製剤と比較して
応用範囲の広い薬剤といえるでしょう。

 
上顎の保存処置には第一選択と考えています。
  

また、血管収縮剤を含有していないので
リドカインのカートリッジよりも
伝達麻酔に使用しやすいでしょう。

 
しかし、スキャンドネストであっても
血管内に短時間で大量に注入するのは危険です。

 
さらに、スキャンドネストの適応には
残念ながら伝達麻酔が含まれていません。

 
欧米では伝達麻酔にも使用されており
有効性・安全性が確認されていますので
伝麻も適応に含めるように
厚労省への要望書が提出されています。

 
https://03auto.biz/clk/archives/sfvpjp.html

 
血管収縮薬無配合の局麻剤は
歯科ではスキャンドネストだけなので
ぜひとも承認されて欲しいですね。

 

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