口腔内写真(5枚法)の撮影~説明方法


【2020年4月27日 5:56 PM更新】


口腔内写真の撮影方法(新人歯科衛生士 N美)

口腔内写真撮影を行う目的・意義

・患者さんに口腔内の状態を客観的に見てもらうこと。

特に、プラークや歯石の付着の程度や歯肉の状態等を自覚してもらう。

 

・写真を見せながら説明することで、患者さんに内容を理解してもらいやすい。

 

・過去の写真と比較することで、状態の変化を観察できる。

 

○写真を使ってどのような説明をすると、メインテナンスにつながりやすいか?

・患者さんが自分で確認することが難しい、臼歯部や口蓋・舌側の状態を見てもらう。

 

特に、臼歯部は頬側、口蓋・舌側ともに歯頚部にプラークが付着している場合が多い。

 

また、下顎前歯舌側は歯石が付着しやすい。

 

普段確認できていないプラークや歯石付着状態を説明する。

 

磨けいていないところを指摘するだけでなく、きれいに磨けているところも見てもらう!

 

・修復物や補綴物が入っている場合は、長期間使用することによって劣化することや、歯質とのすき間から2次カリエスになる可能性もあることを伝えたうえで、

メインテナンスがカリエスの早期発見・治療につながることを説明する。

 

・歯周病菌は成人であれば、ほぼ全員の口腔内に存在しており、常に発症のタイミングをうかがっていることを伝える。

 

歯周病を悪化させるP.g菌は血液中の鉄分を栄養素としている。

なので、歯周病の進行を防ぐためにはポケットから出血させないことが重要だと説明する。

 

・プラークは菌の塊であり、プラークが付着していると歯肉に炎症がおき、やがてポケットができて、ポケット内にも菌が入り込み、ポケット内に潰瘍面(擦りむいたような状態)ができて出血することを説明する。

 

位相差顕微鏡でプラーク内の細菌を見ていただく)

 

・出血させないようにするためには、ポケット内の菌数を減らすことが必要だが、ポケット内は歯ブラシでは磨くことが難しいので、定期的に歯科医院でのポケット内を含めたクリーニングを行って菌数を増やさないようにすることが重要だと説明する。

 

・虫歯は痛みが出た段階で患者さんが自分で気づくことができるが、歯周病は特に初期は痛みなく進行していくことが多いため、定期的なメインテナンスで状態を確認していくことが重要だと伝える。

 

〇上記の目的を果たすためには、どのような写真が必要か?

 

・情報が読み取れるよう、必要な歯列・歯肉の状態が収められている。

 

・正面・・・咬合平面が水平で、写真の中央にある。正中がセンターに来るように撮影。

ピントが上顎の1-1にあっているのが大切です。

 

・頬側面・・・咬合平面が水平で、写真の中央に来るように撮影。

左右それぞれの4-7が収められているのが大切です。

ピントが5.6番あたりにあっている。

頬側がよく観察できるよう、できるだけ真横から撮影する。

(ミラーの角度が大切!)

 

・咬合面・・・正中がセンターに来るように撮影。

歯列全体が収められるようにがんばる。

ピントが6番にあっているのが大切です。

咬合面がよく観察できる角度から撮影する。

 

・比較しやすいよう、規格性が高いこと。

(毎回、角度と大きさが同じ写真を撮影しましょう)

 

  • 練習を始めたころ、苦手だったこと

【正面】

①左右対称に撮影できなかった。

 

【頬側面】

①7番まで収めることができなかった。

②咬合平面を水平に撮影することができなかった。

③唇や頬粘膜が写り込んでしまっていた。

④実像が写り込んでしまっていた。

 

【咬合面】

①歯列全体を収めるのが大変。

②正中を写真のセンターに合わせることができなかった。

③咬合面がしっかり観察できる角度で撮影できなかった。

 

参考書籍:だれでもバッチリ撮れる!口腔内写真撮影(クインテッセンス出版)

 

  • どのように改善したら、苦手を克服できましたか?

【正面】

①患者さんに少し右を向いてもらうことで、左右対称に撮影しやすくなった。

 

右を向いてもらうと、患者さんの顔の真正面でカメラを構えることができ、患者さんの顔とカメラのレンズが平行になるため、左右対称に撮影しやすい。

 

【頬側面】

①ミラーを奥まで入れることができていなかったため、

ミラーの挿入時に7番まで入れてから、頬側に移動させるようにした。

 

ミラーに7番まで写っていることを確認してから撮影するようにした。

 

②ミラーに写る咬合平面が水平かどうか確認してからレンズを覗くようにした。

 

③ミラーの辺縁で排除できていなかったため、患者さんが痛くない程度にミラーを奥に押しながら引っ張るようにした。

 

④ミラーの引きが足りなかったため、ミラーをできるだけ歯列から離すよう心がけた。

 

~左側~

 

 

 

~右側~

 

 

【咬合面】

①ミラーに歯列全体が写っているのを確認してからレンズを覗くようにした。

 

②レンズを覗きながら、正中が曲がっていないか確認してから撮影するようにした。

 

③患者さんに口を大きく開けてもらい、ミラーと歯列をできるだけ離すことを心がけた。上顎撮影時は患者さんに顎を引いてもらい、下顎撮影時は顎を上げてもらうことで撮影しやすくなった。

 

~上顎~

 

 

~下顎~

 

 

 

 

課題:なぜスピーディーな撮影が求められるのか

・撮影の時間を短縮することで、その後の説明の時間を長く取れる。

 

・診療全体のことを考え、やらなければならない他のことに時間を割けるようにするため。

 

・患者の負担軽減、撮影者の負担軽減につながる。

 

 

Aさんの練習をお手伝いしてみました

私が臨床に慣れた頃に、パートの歯科衛生士Aさんが入社されました。

Aさんはキャリア10年以上のベテランなので患者さんへの対応がとてもお上手です。

ただ、これまでの勤務先では口腔内写真を撮影する機会がほとんどありませんでした。

 

そこで、Aさんの口腔内写真の練習に私がお付き合いすることになったのです。

ベテランのDHに指導するのは緊張しましたが、Aさんは優しい方なので穏やかに練習が進みました。

頬側面観と上顎咬合面観の撮影に苦労されていたので、Aさんの抱えた課題と解決方法についてレポートをご紹介します。

 

〈頬側面観〉

【撮影でうまくいかなかったこと】
①7番がしっかり写らなかった
②ミラーの縁が写り込んでしまった

 

【うまくいかなかった原因】
①ミラーを奥まで入れられていなかった
②ミラーで頬粘膜が排除できていなかった
③ミラーを下に下げすぎていた
④ミラーを斜めに引っ張っていた

 

【どうしたらできたか】
①ミラーを挿入時に奥までいれるようにした
②ミラーで頬粘膜を押しながら引っ張るようにした
③ミラーを歯に対して平行に引っ張るようにした

 

〈上顎咬合面観〉

【できなかったこと①】
7番の遠心まで写らなかった

 

【原因】

ミラーが奥まで挿入出来ていなかった

 

【どうしたらできたか】

ミラーに7番までしっかり写っているのを確認してカメラを構える
レンズでも再度確認する

 

【できなかったこと②】

左右臼歯部頬側面がかけてしまっていた

 

【原因】

ミラーを奥に入れすぎて、ミラーの広い部分を使用できていなかった

 

【どうしたらできたか】

ラーを奥まで入れすぎないようにした。ミラーの広い部分に臼歯部が写るようにした。 

 

【できなかったこと③】

左上6、7番頬側面がかけていた

 

【原因】

・ミラーを下顎の歯に押し付けていたため、咬合平面の傾きによりミラーも傾いてしまった。

・レンズを覗いている時にミラーが左側に動いてしまっていた。

 

【どうしたらできたか】

・下の歯に押し付けすぎないようにした(患者さんの咬合平面をよく観察して、ミラーを歯に対して平行に挿入する)

・ミラーが左寄りになりがちなので、カメラを構えている時に右側に意識的に少し圧をかけるようにした。

 

口腔内写真(12枚法)の撮影方法

 

歯科衛生士募集(正社員、診療時間は17:00まで)

 

 

新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院の常勤歯科衛生士





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