【2026年9月1日 2:52 PM更新】

〜勤務医のうちに知っておきたい、予約と信頼のマネジメント〜
はじめに — この講座を開く理由
新潟市西区で松田歯科医院を開業したのが1997年。
まもなく30年になります。
この仕事を続けてきて、
若手の先生方から最も多く受ける相談のひとつが、
実は「キャンセル」の話です。
「予約が埋まっているのに、当日ポッカリ空く」
「治療の途中で、患者さんが来なくなってしまう」
「注意したいけど、応召義務があるから何も言えない」
技術の相談ではなく、経営の相談でもなく。
“予約と信頼”のあいだで揺れる、日々の悩み でした。
そしてこの悩みは、
開業してから抱えるものだ
と思われがちです。
しかし、キャンセルへの対処の仕方は、
勤務医のうちに学んでおくべきでしょう。
なぜなら、 キャンセルへの向き合い方は、
単なる予約テクニックではなく、
「先生がどんな医院をつくりたいか」
という経営哲学そのもの だからです。
この全3回の講座では、
キャンセルの影響を数字で確認して、
応召義務という”法的な迷い”を整理します。
さらに「3年後も通ってもらえる
歯科医院のルールづくり」まで、
順番に学んでいけるのです。
この講座の3つの約束
① 1回あたり約10分。全3回で完結します
長い読み物ではありません。
忙しい先生がストレスなく読める
長さに設計しています。
② 毎回、「宿題アクション」がついています
「読んで終わり」を防ぐために
読み終えた瞬間から、
勤務先で試せる一歩を提示します。
③ 3回読み終えたとき、あなたはこうなっています
- キャンセルの実害を数字で語れる
- 「診療拒否」と「予約運用の工夫」の違いを説明できる
- 「予約を守ってくれる患者さんを大切にする」院内ルールを設計できる
こんな先生に読んでほしい
- 予約の空きを「仕方ないもの」として受け入れてしまっている先生
- キャンセル常連の患者さんへの対応に、モヤモヤを抱えている先生
- 「応召義務があるから、予約運用は変えられない」と思い込んでいる先生
- 将来の開業・継承に向けて、経営の土台を今のうちに固めたい先生
逆に言えば、 この講座は「キャンセル料で儲ける方法」や 「面倒な患者を切るテクニック」を求める先生には向きません。
患者さんとの信頼を守りながら、医院も守る。 その両立のしかたを、誠実にお話しします。
学習マップ — 3回の全体像
第1回 【現実】 新患が増えても医院が楽にならない理由 ↓ 問題認識:数字で見るキャンセルの実害 第2回 【判断】 応召義務と「予約を断つ」の境界線 ↓ 価値観整理:法的・倫理的な迷いを晴らす 第3回 【仕組み】 3年後も通ってくれる医院のルールづくり ↓ 実践:院内規程と「守ってくれる人を大切にする」運用
現実 → 判断 → 仕組み。
この順番には意味があります。 実害を知らずに対策を語れば、どこか他人事になる。 迷いを晴らさずに仕組みを導入すれば、必ず途中で揺らぐ。
だから、第1回から順番に お読みください。
各回の内容
第1回 「新患が増えても医院が楽にならない理由」
📖 記事を読む
開業1年未満、月間新患50名超、レセプト400枚超。 数字だけ見れば”勝ち組”の院長先生が、なぜ疲弊していたのか。
- 治療中断率80%・メンテナンス移行50%未満という現実
- キャンセル率10% = 月まる2日分の空白 という計算
- キャンセルが奪うのは「時間」だけではない。患者さんのお口の健康も
📝 宿題アクション: 勤務先の直近1ヶ月のキャンセル数を数えて、「月の診療日」に換算してみる
第2回 「応召義務と『予約を断つ』の境界線」
📖 記事を読む
「キャンセル常連の予約を取らないのは、応召義務違反では?」 真面目な先生ほど抱く、この疑問に正面から答えます。
- 歯科医師法第19条が制限しているのは「診療拒否」。予約枠の調整は別次元の話
- 宿泊・飲食業のキャンセル料設計から見える、歯科業界の”当たり前”の歪み
- 患者属性に応じた予約の取り方と、院内ルールの明文化
📝 宿題アクション: 「診療拒否」と「予約調整」の違いを、自分の言葉で説明できるか試してみる
第3回 「3年後も通ってもらえる歯科医院の作り方」
📖 記事を読む
松田歯科医院の待合室には、「あるメッセージ」が掲示されています。 それは患者さんへの約束であると同時に、院長自身も破れない”憲法” です。
- 「約束を待たされて不快になる時間 = 約15分」という事実
- 「予約を守ってくださる患者さんを大切にします」と明言し、医院全体で実行する
- 常習キャンセルの方への第三の道:予約を断るのではなく、予約間隔を長めに設定する
📝 宿題アクション: 勤務先の「キャンセル対応ルール」を3行で書き出してみる(書けなければ、それが現在地)
修了チェックリスト
全3回を読み終えたら、この3つにチェックを入れてみてください。
□ キャンセル率10%が「月まる2日分の空白」に相当すると説明できる
□ 「診療拒否」と「予約運用の工夫」の違いを人に話せる
□ 「予約を守ってくれる患者を優遇する」ルールを文章で書ける
3つともチェックできたら、この三部作のゴールです。
あとは、日々の診療で育てていくだけ。 難しいことは何もありません。 今日の診療から、ひとつずつ。
姉妹講座のご案内
この講座には、もうひとつの姉妹シリーズがあります。
📚 勤務医のうちに身につけたい リコール率改善講座【全3回】
- 第1回 なぜ、測ることから始めるのか
- 第2回 通い続ける仕組みは、説明でつくる
- 第3回 80%から90%へ。転換点は『その場の予約』
2つの講座の関係は、こうです。
| 講座 | テーマ | 役割 |
|---|---|---|
| キャンセル対策三部作(この講座) | 空いた枠をなくす | 守り — 既存の枠の稼働率を上げる |
| リコール率改善講座 | 埋まる枠を増やす | 攻め — 継続来院で枠を創出する |
学習の推奨順は、まずこの講座から。
キャンセル対策で土台を固めてから、 リコールの仕組みで柱を立てる。
土台なしに柱は立たず、 柱なしに医院は育ちません。
全6回を終えたとき、 あなたは「予約枠を無駄にしない医院」と 「予約枠が自然に埋まる医院」の両方の設計図を持っているはずです。
最後に
キャンセル対策というと、 「厳しいルールをつくる話」のように聞こえるかもしれません。
でも、この講座でお伝えしたい本質は、逆です。
予約を守ってくださる患者さんを、心から大切にする。 その姿勢を、言葉にし、掲げ、医院全体で実行する。
厳しさではなく、誠実さの仕組み化 が、 キャンセルの少ない医院をつくります。
そしてその姿勢は、 3年後、5年後、10年後の医院の姿を、 静かに、しかし確実に変えていきます。
若手の先生方が、 「予約と信頼のマネジメント」を若いうちに身につけ、 それぞれの地域で長く愛される医院を築いていかれることを、 心より願っております。
それでは、第1回から始めましょう。
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前へ:予防歯科に協力しないスタッフへの対処方法
次へ:キャンセルに振り回されない医院づくり講座【第1回】
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